以前、元官僚の人が書いたネット記事を興味深く読みました。
官僚には二つのタイプがあると感じていたそうです。一つは「国士」タイプ。「自分たちが国を動かしているのだ」という使命感と誇りを持ち、自らが政策をリードしていくというタイプです。
もう一つは「テクノクラート」タイプ。官僚は時の政権(または内閣)から与えられた課題を効率的に処理するのが基本的な役割であり、その範囲で全力を尽くせばよいと考えるタイプです。
少々乱暴な分類になるかもしれませんが、前者がリーダータイプ、後者がマネジャータイプと言うことができるかもしれません。
前者のようなタイプの従業員が多くいる会社と、後者のタイプが多くいる会社は、研修をしていると明らかにその違いがわかります。
いや、研修を行う前の打ち合わせの段階からわかることのほうが多いかもしれません。それは意思決定のスピードの違いにも端的に表れますし、研修内容の議論をしていてもわかります。
とくに上意下達が徹底してしまっている会社は、なぜそのことをするのか(Why)、自分で何をすべきか(What)考えることができないようなタイプの人が多く、どのようにすべきか(How)の達人がそろっているという印象です。
官僚で言えば、まさにテクノクラートの集まりのような組織です。
そうした会社の個別の研修は、人材開発の基本的なコンセプトに基づいて研修体系の中に位置づけられているものではなく、まるでパッチワークの布のように整合性がなくバラバラになっています。
国士タイプの人が得意とする「物事を大きく発想する」ことを、早い内から訓練させたいものですね。