リーダーシップを発揮するということは、他者や組織に対して影響力を及ぼして目標や目的を達成することである、といったことがよく言われます。
この考え方において、長年にわたって忘れられてしまっていたのが、他者やチーム、そして組織などをリードする前に、自らをリードすることが求められるという考え方です。
自分を導くことができない人間が、他者や組織を導いたら恐ろしい結果が待ち構えていることくらい、誰にでもわかることです。
2000年頃からリーダーシップの焦点はリーダー自身に当てられ、とくに自己認識の大切さが強調されてきました。
自己認識を高めるためには、自己を客観的に見ることができなければなりません。もちろん自分で自分を客観的に見ることには限界がありますから、他者からのフィードバックが大切な手段にもなります。
脳科学の観点から見てみると自己客観視を司る脳の部分は、空間移動を認識する脳の部分と連動しているということがわかっています。
脳の自己客観視を司る部分は、たとえば同じ環境に留まる、同じ通勤経路を使うなど、変化による刺激がないと不活性化してしまうということになります。
つまり場所を変えるなどの環境変化が、この部分を活性化するのです。旅行に行くと、悩み事がちっぽけなことのように捉えられるのは、このせいでもあります。
職場があるオフィスビルの中にある会議室で研修をしても、ほとんど同じ空間ですから、自己認識を促すような効果はありません。
自己認識を高めるようなリーダーシップ研修を行うのでしたら、上述した脳科学の観点から見ると、非日常的な空間を経験する移動が必要になってきます。
こうした意味からも研修施設を郊外に設けるということは、理にかなっていると言えるでしょう。